新規事業・AI2026年6月27日· 25 min read

新規事業 企画書 書き方|中小企業・一人社長がAIを使って事業案を形にする方法

新規事業の企画書の書き方を、中小企業・一人社長・個人事業主の視点で解説。企画書と事業計画書の違い、書くべき基本項目、作成手順、ChatGPTなど生成AIへの相談プロンプト例、そしてコピペで使える企画書テンプレート(Word無料ダウンロード)まで、初期検討段階の意思決定に使える形でまとめます。

#新規事業#企画書#書き方#AI活用#中小企業

新規事業を始めたい。けれど、何から書けばよいのか分からない。

中小企業の経営者、一人社長、個人事業主にとって、新規事業の企画書は大企業のような社内稟議資料とは少し意味が違います。上司に承認をもらうためだけの資料ではなく、自分自身の頭を整理し、協力者に説明し、金融機関や取引先に可能性を伝え、限られた時間とお金をどこに投じるかを決めるための「意思決定の道具」です。

特に2026年現在は、ChatGPTなどの生成AIを使えば、企画書作成のハードルは大きく下がっています。ただし、AIに丸投げすればよいわけではありません。AIは、事業の責任を取ってくれる存在ではありません。あくまで、自分の仮説を言語化し、抜け漏れを指摘してもらい、別の視点から問い直すための壁打ち相手です。

この記事では、「新規事業 企画書 書き方」で調べている方に向けて、企画書に書くべき項目、作成の流れ、コピペで使えるテンプレート、さらにAIに相談するときのプロンプト例までまとめます。記事の最後では、そのまま使える企画書テンプレート(Word)も無料でダウンロードできます。

新規事業の企画書とは何か

新規事業の企画書とは、まだ形になっていない事業の可能性を、他人にも自分にも判断できる形に変換した資料です。

アイデアの段階では、頭の中にあるものは自由です。「こんなサービスがあったら便利そう」「この顧客に売れるかもしれない」「今の事業の延長でできそう」と考えることはできます。しかし、そのままでは判断できません。

企画書にすることで、次のような問いに答えられるようになります。

  • なぜ今この事業をやるのか
  • 誰のどんな課題を解決するのか
  • どのような商品・サービスとして提供するのか
  • いくらかかり、どのくらい売上が見込めるのか
  • 何を検証すれば、次に進んでよいと言えるのか
  • 失敗した場合のリスクはどこまで許容できるのか

つまり、企画書は「成功を保証する資料」ではありません。むしろ、まだ分からないことを明らかにし、次に検証すべきことを決めるための資料です。

新規事業において最も危険なのは、失敗そのものではありません。何が分かっていて、何が分かっていないのかを曖昧にしたまま、勢いだけで時間とお金を使ってしまうことです。企画書を書くことは、未来に対して小さな約束をすることであり、同時に、未来に飲み込まれないための境界線を引くことでもあります。

新規事業の企画書と事業計画書の違い

新規事業の資料には、「企画書」と「事業計画書」があります。この2つは似ていますが、役割が異なります。

企画書は、事業アイデアを検討するための初期資料です。目的は、「このテーマを検証する価値があるか」を判断することです。まだ売上計画や詳細な収支が完全に固まっていなくても構いません。

一方、事業計画書は、実際に事業として立ち上げる段階で作る資料です。売上計画、費用計画、資金繰り、人員計画、販売戦略など、より具体的な実行計画が必要になります。融資や補助金申請、出資相談では、事業計画書レベルの精度が求められることもあります。

この記事で扱うのは、主に「企画書」です。つまり、最初から完璧な事業計画を作る必要はありません。まずは、次の一歩を踏み出してよいかを判断できる資料を作ることが大切です。

新規事業の企画書に書くべき基本項目

1. なぜやるのか

最初に書くべきなのは、「なぜこの新規事業をやるのか」です。

新規事業の企画書では、商品やサービスの説明から入りたくなります。しかし、読み手が最初に知りたいのは「それはなぜ今必要なのか」です。たとえば、次のような観点で整理します。

  • 既存事業の売上が頭打ちになっている
  • 顧客から新しい相談が増えている
  • 自社の強みを別市場に展開できそう
  • 人手不足や原価高など、業界構造が変わっている
  • 生成AIやデジタル化によって新しい提供方法が可能になった

中小企業の場合、「市場規模が大きいから」だけでは動機として弱いことがあります。むしろ、「自社の顧客接点を活かせる」「既存の信用を使える」「今の人員でも小さく始められる」といった理由の方が重要です。なぜやるのかは、企画書の魂です。ここが曖昧だと、後半の内容がどれだけ整っていても、読む人の心は動きません。

2. 誰に提供するのか

次に、ターゲット顧客を明確にします。「中小企業向け」「シニア向け」「女性向け」「地域住民向け」といった表現だけでは不十分です。企画書では、もう一段具体化します。

  • 業種・職種
  • 企業規模、または年齢・家族構成
  • 担当者と決裁者
  • 現在抱えている課題
  • すでに使っている代替手段

顧客像が具体的になるほど、商品もメッセージも価格も決めやすくなります。逆に「みんな」を狙った企画書ほど、誰の心にも届きません。

3. どんな課題を解決するのか

想定顧客が、いま何に困っているのかを書きます。重要なのは、こちらが解決したい課題ではなく、顧客自身が「お金を払ってでも解決したい」と思っている課題かどうかです。

その課題を放置すると顧客にどんな不利益があるのか、なぜ今まで解決されてこなかったのかまで踏み込むと、企画の説得力が増します。

4. 何を提供するのか(商品・サービス)

課題に対して、自社が提供する商品・サービスを書きます。あわせて、提供形式も決めておきます。

  • 単発か、継続か
  • 対面か、オンラインか
  • 人による支援か、AI・システム活用か
  • 想定価格

中小・個人の新規事業では、あれもこれも盛り込みたくなります。しかしリソースが限られているほど、提供価値を一文で言い切れることが武器になります。

5. なぜ自社がやるのか(強み)

同じことを大企業や競合がやったら勝てないかもしれません。だからこそ、「自社だからできる理由」を書きます。

  • 既存顧客との関係性
  • その領域の知見や実績
  • 小回りのきく対応力
  • 代表自身の経験

これらを掛け合わせ、競合とは異なる価値を一点に定めます。

6. いくらかかり、いくら残るのか(収益モデル)

初期費用、固定費、単価、原価率を書き、「月いくら売れば赤字にならないか(損益分岐点)」を必ず出します。大企業の企画書のように精緻でなくて構いません。ただし、自分の人件費を売上から差し引くのを忘れないことです。初期段階では、小さくテスト販売して顧客反応を見ながら価格を調整する前提で構いません。

7. 何を検証し、次に何をするのか

最後に、最初の一歩を書きます。企画書は、立派な未来予想図ではなく、次の行動を決めるための資料です。どれだけ大きな構想でも、最初の一歩が曖昧なら進みません。

  • まず既存顧客5社にヒアリングする
  • テスト商品を1か月以内に作る
  • 無料モニターを3名募集する
  • LPを1枚作って反応を見る
  • 3か月後に継続・修正・撤退を判断する

あわせて、「ここまで進まなかったら撤退する」という基準も先に決めておきます。冷静なうちに引いた撤退ラインが、熱くなった自分を守ります。

コピペで使える新規事業企画書テンプレート

以下は、中小企業・一人社長・個人事業主向けのシンプルな企画書テンプレートです。そのままコピーして、自社の内容に合わせて書き換えてください。記事末尾では、このテンプレートをWord形式でダウンロードできます。

# 新規事業企画書

## 1. 企画名
〇〇向け〇〇サービス

## 2. 企画の背景
現在、当社では〇〇という課題があります。
また、既存顧客や市場では〇〇という変化が起きています。
この状況を踏まえ、当社の強みである〇〇を活かし、新たに〇〇事業を検討します。

## 3. この事業をやる目的
- 既存事業に加えて新たな売上源を作る
- 既存顧客への提供価値を高める
- 自社の強みを別の顧客層に展開する
- 将来的な収益の柱を育てる

## 4. 想定顧客
- 業種:
- 企業規模:
- 担当者・決裁者:
- 現在抱えている課題:
- すでに使っている代替手段:

## 5. 顧客課題
想定顧客は、現在〇〇に困っています。
その背景には、〇〇、〇〇、〇〇があります。
この課題は、放置すると〇〇につながる可能性があります。

## 6. 提供する商品・サービス
提供内容:
-
提供形式(単発/継続・対面/オンライン・人/AI・想定価格):
-

## 7. 当社が取り組む理由・強み
- 既存顧客との関係性
- 〇〇領域の知見・実績
- 小回りのきく対応力
- 代表自身の経験
→ これらを活かした、競合とは異なる価値:〇〇

## 8. 収益モデル
- 初期費用:
- 月額/単発/成果報酬:
- 損益分岐(月いくら・何件):

## 9. 検証計画と次の一歩
- 来週やる需要検証:
- 撤退ライン(期限・基準):

AIに相談するときのプロンプト例

ここからは、ChatGPTなどの生成AIを「壁打ち相手」として使うときのプロンプト例です。AIに答えを書かせるのではなく、自分の考えの抜け漏れを指摘させ、問いを増やすために使います。

  • 顧客の解像度を上げる:「私は〔事業の一行説明〕を考えています。想定顧客〔顧客像〕になりきって、『困ってはいるが、お金を払ってまで解決したいとは思わない』理由を5つ挙げ、どの困りごとなら財布を開くか優先順位をつけてください。」
  • 提供価値を絞る:「この事業を『誰の・何を・どう変えるか』の一文で5パターン書き、最も具体的で最も狭い(=刺さる)ものを選んでください。」
  • 数字を詰める:「単価〔円〕、固定費〔円/月〕、原価率〔%〕のとき、損益分岐に必要な月間販売数を計算し、その達成難易度を顧客獲得の現実から厳しめに評価してください。」
  • リスクを名指しする:「この企画〔貼る〕で『この仮定が崩れたら事業が成立しない』という最も危うい前提を1つ特定し、本格投資の前に最小コストで検証する方法を提案してください。」
  • 反対意見を出させる:「この企画に、投資家・既存顧客・現場担当の3者の立場から、それぞれ最も鋭い反対意見を出してください。」

AIに任せていいこと・いけないこと

生成AIは、言語化、構成整理、論点の洗い出し、反対意見のシミュレーションに向いています。一方で、AIには「もっともらしいこと」を書けてしまうという弱点があります。

市場規模、顧客課題、競合状況、価格妥当性などは、AIの回答だけで判断してはいけません。AIが出した内容は、必ず現実の顧客、実際の商談、既存データ、検索結果、業界情報と照らし合わせる必要があります。

AIを使った企画書作成で大切なのは、次の姿勢です。

  • AIに答えを求めるのではなく、問いを増やす
  • きれいな文章より、検証すべき仮説を明確にする
  • 自分に都合のよい意見だけでなく、反対意見も出させる
  • 最後の判断は経営者自身が行う

AIは、経営者の代わりに覚悟を持つことはできません。しかし、経営者が覚悟する前に考えるべき論点を、短時間で可視化してくれます。

新規事業企画書の作成手順

ステップ1:まず粗く書く

最初からきれいな企画書を作ろうとしないことです。まずは箇条書きで構いません。「誰に」「何を」「なぜ」「いくらで」「どうやって売るか」を書き出します。この段階では、矛盾があっても問題ありません。むしろ、書き出すことで矛盾が見えるようになります。

ステップ2:AIに壁打ちする

次に、ChatGPTなどに企画案を入れて整理してもらいます。このとき、「良い感じにしてください」ではなく、「抜け漏れを指摘してください」「反対意見を出してください」「一人社長でもできる計画にしてください」と依頼するのがポイントです。AIを褒め役にしてはいけません。企画書作成では、AIを少し意地悪な相談相手にするくらいがちょうどよいです。

ステップ3:顧客の声で検証する

AIとの壁打ちで整理したら、次は実際の顧客に当てます。既存顧客、知人、過去の取引先、見込み客に話を聞きます。ここで確認すべきは「面白いですね」という感想ではありません。

  • 今その課題に困っているか
  • すでに何か対策しているか
  • お金を払ってでも解決したいか
  • 誰が決裁するのか
  • いくらなら、いつなら導入するのか

新規事業は、机の上ではなく、顧客との会話の中で形になります。

ステップ4:小さく売って確かめる

最後は、小さく売って確かめます。商品を完璧に作り込む前に、テスト販売やモニター、LP1枚で需要を確認します。ここで得た反応をもとに、企画書を書き換えていきます。一度作って棚にしまう企画書ではなく、検証のたびに更新する生きた文書にすることが、新規事業を前に進めるコツです。

やってはいけない企画書の書き方

  • 顧客を広げすぎる:「みんな向け」は誰にも刺さりません。具体的な顧客に深く刺さる企画の方が、検証しやすく、売りやすく、改善もしやすいです。
  • リスクを書かない:企画を通したい気持ちが強いと、リスクを書きたくなくなります。しかし、リスクが書かれていない企画書は、読み手に不安を与えます。良い企画書は、可能性を語りながら失敗の条件も見ている資料です。

ダウンロード:新規事業企画書テンプレート(Word)

本記事で紹介した企画書テンプレートを、そのまま編集できるWord形式で用意しました。9つの項目に沿って埋めていくだけで、初期検討段階の企画書が一枚にまとまります。AIへの相談プロンプトも同梱しています。

▶ 新規事業企画書テンプレート(Word)を無料ダウンロード

まとめ:企画書は未来を小さく試すための道具

新規事業の企画書は、きれいな資料を作るためのものではありません。それは、まだ見えない未来に対して、どのくらいの時間とお金を使う価値があるのかを考えるための道具です。

なぜやるのか。誰に届けるのか。何を解決するのか。いくらかかるのか。何がリスクなのか。次に何を試すのか。この問いに一つずつ答えていけば、企画書は自然と形になります。

そして2026年の今、ChatGPTなどの生成AIは、その作業を大きく助けてくれます。AIに整理させ、問い直させ、反対意見を出させることで、企画書の精度は上がります。ただし、最後に決めるのは人間です。顧客と向き合い、自社の強みを見つめ、どこまで賭けるのかを決めるのは、経営者自身です。

まずは1枚で構いません。完璧でなくて構いません。頭の中の新規事業を、今日、言葉にしてみましょう。

株式会社KAKUKATAでは、新規事業の企画・検証・AI活用を、壁打ち相手としてのAIの使い方ごと伴走します。ひとりで詰まったら、頼ってください。

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