RESEARCH NOTE / 古文書・戸籍

家系図作成の費用相場|自分で作る場合と代行依頼の総額を比較

家系図作成の費用は、自分で作れば戸籍手数料の数千円〜2万円、業者・行政書士への依頼(代行)なら1系統3万〜10万円が相場。自作の総額シミュレーション、代行料金の内訳、安く抑えるコツまで解説します。

家系図作成の費用相場|自分で作る場合と代行依頼の総額を比較

ABSTRACT

この記事の要点

家系図作成の費用は、自分で作れば戸籍手数料の数千円〜2万円、業者・行政書士への依頼(代行)なら1系統3万〜10万円が相場。自作の総額シミュレーション、代行料金の内訳、安く抑えるコツまで解説します。

家系図作成の費用は、大きく3つの層に分かれます。①自分で作る:戸籍手数料が中心で総額数千円〜2万円程度、②業者・行政書士に戸籍調査を依頼:1系統3万〜10万円程度、③現地調査や巻物・掛軸仕立てまで含む本格仕様:10万円〜数十万円以上。

この記事は特定の業者の料金案内ではなく、自作した場合の総額シミュレーションと、公開されている業者料金の相場観を中立的に整理したものです。「結局いくらかかるのか」「自作と依頼はどちらが得か」に答えます。

なお、家系図作りはご自身の直系のご先祖を調べることが前提です。他者の出自を調べる身元調査は重大な人権侵害であり、本記事の対象外です。

費用相場の全体像

作り方費用の目安含まれるもの
自分で作る数千円〜2万円程度戸籍の手数料・郵送費(作図は自分)
業者・行政書士(戸籍調査+家系図)1系統3万〜10万円程度戸籍の収集・読み解き・家系図の作成
本格仕様(複数系統・文献/現地調査・表装)10万円〜数十万円以上上記+調査の深掘り・巻物/掛軸などの仕上げ

以下、それぞれの内訳を見ていきます。

自分で作る場合の費用シミュレーション

自作の費用は、ほぼ戸籍の手数料で決まります。戸籍謄本は1通450円、除籍謄本改製原戸籍は1通750円です。

直系1系統(父方のみ)を出生から遡ると、必要な戸籍は概ね5〜15通(10通前後が目安)です。転籍・改製の回数が多い家系では15通を超えることもあります。試算すると次のとおりです。

調べる範囲通数の目安手数料の目安郵送費等込みの総額目安
1系統(父方のみ)5〜15通4,000円〜11,000円5,000円〜1万円強
2系統(父方+母方)10〜30通8,000円〜22,000円1〜2万円前後
4系統(祖父母4人の実家まで)20〜50通15,000円〜37,000円2〜4万円前後

※通数は家ごとの転籍・改製の回数で大きく変わるため、あくまで目安です。

郵送請求では、手数料を定額小為替(ていがくこがわせ。郵便局で購入する送金用の証書)で支払います。その発行手数料(1枚あたり200円)と往復の切手代が上乗せになります。

2024年3月開始の広域交付制度を使えば、最寄りの役所で直系の戸籍をまとめて請求できます。ただし窓口での本人請求のみ(郵送・代理人不可、顔写真付き本人確認書類が必要)で、コンピュータ化されていない古い除籍等は対象外です。その場合は従来どおり本籍地へ請求します。

戸籍の集め方の手順は先祖の調べ方まとめを、作図の方法(エクセル・無料アプリ)は家系図の作り方を参照してください。作図を無料テンプレートやアプリで行えば、追加費用はかかりません

業者・行政書士に依頼(代行)する場合の相場

家系図作成の代行を依頼できる先は、大きく2種類あります。行政書士(戸籍の代理取得と家系図作成をあわせて依頼できる)と、民間の家系図専門業者(調査から表装=巻物・掛軸などへの仕立てまで一括対応のプランが充実)です。

なお、職務上請求(士業が委任状なしで職務のために戸籍を請求できる制度)は、家系図作成を目的とした取得には使えないとされています。依頼者本人の委任状にもとづいて代理取得するのが正しい運用で、「委任状なしで集められます」と説明する業者には注意してください。

公開されている料金の傾向を整理すると、概ね次のレンジに収まります。

依頼内容相場の目安
戸籍調査+家系図(1系統)3万〜10万円程度(平均的には5万〜9万円前後)
系統の追加1系統あたり数万円ずつ加算
全系統(4〜8系統)パック10万〜30万円程度が中心(本格的な全系統プランでは30万〜50万円台の例も)
文献調査・現地調査つき数十万〜100万円以上(深い調査では200万円超の例も)
巻物・掛軸などの表装仕上げ機械表装なら数万円〜、職人による本表装は10万〜50万円前後が加算

料金表を見るときの4つの注意点

  1. 戸籍の実費が「込み」か「別途」か: 手数料・郵送費(1系統で1万円前後)が料金に含まれるかは業者により異なります
  2. 系統数の数え方: 「1系統=1つの名字」が基本。父方・母方で2系統になる点は見積もり時に確認を
  3. 定額制か成果報酬型か: 戸籍調査は定額制が主流ですが、江戸時代以前の文献・現地調査では「見つかった成果に応じて課金」する成果報酬型を採る業者もあります。上限額の取り決めを忘れずに
  4. 不可能な調査をうたう業者は避ける: 壬申戸籍(明治5年式戸籍)はどの業者・士業でも閲覧できません。「壬申戸籍まで調査」のような宣伝には注意してください(詳しくは壬申戸籍とは?なぜ閲覧禁止なのか

費用を決める3つの要素

  1. 系統数: 父方1系統か、祖父母4系統か。費用にほぼ比例します
  2. 調査の深さ: 戸籍のみ(幕末まで)か、過去帳・古文書・現地調査(江戸時代以前)まで踏み込むか
  3. 仕上げ: データ・印刷で良いか、額装・和綴じ・巻物にするか。仕上げは後からグレードアップできるので、最初はシンプルで十分です

自作と依頼、どちらを選ぶ?

向いている人
自作(数千円〜2万円)時間をかけられる。調査の過程も楽しみたい。費用を最優先
業者・行政書士(3万円〜)時間がない。読み解きに自信がない。仕上がりの美しさを重視
中間ルート(1万〜数万円)戸籍集めは自分でやり、読み解きや整理だけ部分的に外注

見落とされがちなのが3つ目の中間ルートです。戸籍の請求自体は難しくありませんが、古い戸籍は毛筆・旧字体の手書きで、読み解きが最大の壁になります。集めるところまで自分でやれば費用を大きく抑えつつ、読めない部分だけ助けを借りる、という組み立てができます。

当社の古文書AIサービスは、この「読み解き」の部分をAI下読み+人間確認でお手伝いするものです。また、集めた戸籍・写真・証言を家系図や家族史の形に整理する段階は家系図・自分史AI整理サービスで承っています(戸籍の取得代行や相続手続きの代行は行っていません)。

費用を安く抑える4つのコツ

  1. 広域交付を使う: 2024年3月から最寄りの役所で直系の戸籍をまとめて請求でき、遠方の役所への交通費・郵送費を抑えられる(コンピュータ化されていない古い除籍は対象外)
  2. 系統を絞って始める: まず父方1系統だけ。広げるのはいつでもできます
  3. 仕上げはデータで: 巻物・額装は後からでも作れます。まずPDF・印刷で完成させるのが合理的
  4. 相見積もりで「実費込みか」を確認: 業者に依頼する場合は、戸籍実費・系統追加費・仕上げ費を含めた総額で比較を

家系図作成の費用に関するよくある質問

市役所で家系図を作ってもらえますか?いくらかかりますか?

市役所は家系図を作成しません。市役所でかかる費用は戸籍の手数料(1通450〜750円)のみで、読み解きと作図は自分で行うか、業者・行政書士に依頼します。

家系図は無料で作れますか?

作図自体は無料テンプレートやアプリで可能ですが、戸籍の手数料(1系統で4,000円〜1万円程度)は必ずかかります。完全無料にはなりませんが、1万円前後で「戸籍にもとづく確かな家系図」が作れると考えると、費用のハードルは低い部類といえます。

行政書士に頼むといくらですか?

行政書士は1系統3万〜8万円程度が目安です(民間の家系図専門業者を含めた全体では3万〜10万円程度)。事務所により料金体系が異なるため、戸籍実費が込みかどうかを含めて確認してください。

巻物や掛軸の家系図はいくらしますか?

表装のグレードによります。機械表装なら仕上げ費用は数万円〜、職人による本表装は10万〜50万円前後で、調査費込みの総額では30万円を超えることも珍しくありません。記念品・家宝としての位置づけの価格帯です。

依頼した場合、どれくらいの期間で完成しますか?

戸籍調査+家系図で1〜4か月程度が一般的です。文献・現地調査を含む本格調査では半年〜1年以上かかることもあります。自作の場合も、戸籍の請求往復に数週間〜数か月を見込んでください。

家系図作成の代行はどこに頼めますか?

戸籍の代理取得を含む代行は、行政書士か家系図専門業者に依頼できます。本人の委任状にもとづく代理取得が正しい運用で、費用は1系統3万〜10万円程度が目安です。

途中で費用が追加になることはありますか?

戸籍の通数が想定より多い場合(転籍が多い家系など)や、系統を追加した場合に実費・調査費が増えることがあります。依頼時に「上限額」や「追加時の連絡」を取り決めておくと安心です。


まとめ

  • 家系図作成の費用は、自作なら総額数千円〜2万円程度(ほぼ戸籍の手数料)
  • 業者・行政書士への依頼は1系統3万〜10万円程度から。文献調査・表装まで含めると数十万円規模に
  • 費用を決めるのは「系統数 × 調査の深さ × 仕上げ」。仕上げは後からグレードアップできる
  • 集めるのは自分、読み解き・整理だけ外注という中間ルートも費用対効果の高い選択肢

参考資料

*本記事の金額は、公開されている手数料・料金情報にもとづく一般的な目安であり、個別の見積もりを保証するものではありません。当社のサービスはお手元の資料の解読・整理の支援であり、戸籍謄本等の取得代行、相続人の確定、法律相談・法律事務は行いません(これらは行政書士・司法書士・弁護士等の業務です)。また、戸籍などの資料を他者の出自や特定の地域に関する調査(身元調査)に用いることは重大な人権侵害であり、当社でも身元調査に関わるご依頼はお受けしません。*

型を手に入れる。あるいは、共に超える。