先に結論
家系図の作り方を「調べる→整理する→図にする」の3工程で解説。戸籍の集め方(広域交付対応)、費用の目安、エクセル・無料アプリ・テンプレートでの書き方、業者依頼との比較まで完全ガイド。
家系図の作り方は「①戸籍で調べる → ②情報を整理する → ③図にする」の3工程です。 自分で作れば費用は戸籍の手数料が中心(総額数千円〜2万円程度)で、多くの家で幕末〜明治初期生まれの先祖(4〜6世代前)まで遡った家系図が作れます。
この記事は、初めて家系図を作る方向けの完全ガイドです。戸籍の集め方、読めない字の対処法、エクセル・アプリ・手書きそれぞれの書き方、自作と業者依頼の比較、作るときの注意点まで、この1本で全体像がわかるようにまとめました。
なお、家系図作りはご自身の直系のご先祖を調べることが前提です。他者の出自を調べる身元調査は重大な人権侵害であり、本記事の対象外です。
作り始める前に:2つだけ決めておく
いきなり戸籍を集め始める前に、次の2つを決めておくと挫折しにくくなります。
1. どの系統まで調べるか
「家系」は思っているより広がります。父方の名字の系統だけなら1系統、父方・母方なら2系統、祖父母4人の実家までなら4系統。最初は「父方1系統」か「父方・母方の2系統」がおすすめです。後から広げることはいつでもできます。
2. 家族・親族の理解を得る
家系図作りでは、親族の戸籍情報や古い家の事情に触れることになります。事前に「家系図を作りたい」と家族・親族に伝え、理解を得てから始めましょう。調査で知り得た事実をむやみに他言しないことも大切なマナーです。
工程①:戸籍で先祖を調べる
家系図の土台は戸籍です。直系の子孫であれば、100年以上前の先祖の戸籍(除籍謄本・改製原戸籍)を市区町村に請求できます。 除籍謄本(じょせきとうほん)は全員が抜けて閉鎖された戸籍の写し、改製原戸籍(かいせいげんこせき)は法改正前の古い様式のまま保存されている戸籍です(詳しくは除籍謄本とは・改製原戸籍とは)。
手順はシンプルです。
- 自分の戸籍謄本を取り、父母の本籍地を確認する
- 父母 → 祖父母 → 曽祖父母…と、古い戸籍を順に請求していく
- 「これより古い戸籍はない」と言われたら、そこが戸籍調査の終点
2024年3月からは広域交付制度により、本籍地が遠方でも最寄りの市役所・区役所・町村役場の窓口で直系尊属(父母・祖父母など直系の先祖)の戸籍をまとめて請求できるようになりました。利用には本人が窓口へ出向き、マイナンバーカード等の顔写真付き本人確認書類を提示する必要があります。
コンピュータ化されていない古い除籍は対象外のため、その場合は本籍地への郵送請求になります。
費用は戸籍謄本1通450円、除籍謄本・改製原戸籍1通750円。直系をすべて遡っても総額数千円〜2万円程度が目安です。
戸籍収集の詳しい手順・郵送請求のやり方・戸籍以外の調査手段(過去帳・古文書など)は、先祖の調べ方まとめで解説しています。
どこまで遡れる?
請求できる最古の戸籍は概ね明治19年式戸籍(明治19年(1886年)に様式統一)で、そこには江戸時代生まれの先祖の名前が記載されていることが多くあります。戸籍だけで4〜6世代前、幕末〜明治初期生まれの先祖までが現実的なラインです。
なお、明治5年(1872年)編製の壬申戸籍は閲覧が全面禁止されているため、どの業者・士業でも取得できません。詳しくは壬申戸籍とは?なぜ閲覧禁止なのかをご覧ください。
工程②:情報を整理する
集めた戸籍から、家系図に載せる情報を抜き出して一覧にします。
- 人物ごと: 氏名(旧字体はそのまま控えておく)・続柄・生年月日・没年月日
- 夫婦ごと: 婚姻日・配偶者の旧姓と実家
- 戸ごと: 本籍地の変遷
あわせて、年長の親族への聞き取りもこの段階で行いましょう。戸籍には載らない職業・人柄・引っ越しの経緯などのエピソードは、家系図を「名前の並び」から「家の物語」に変えてくれます。
このとき最大の壁になるのが、古い戸籍が手書きで読めないことです。明治期の戸籍は毛筆・旧字体・変体仮名で書かれており、名前や地名の判読でつまずく人が非常に多くいます。判読に困ったら、くずし字対応のAIアプリで下読みする方法があります(読み方を学ぶ・依頼するという選択肢も含めた全体像は古文書の読み方・解読ガイドへ)。当社の古文書AIサービスでも、旧戸籍のAI下読み+人間確認による整理をお手伝いしています。
整理の形式は、エクセルなどの表計算ソフトに「人物一覧」を作るのが後々便利です。図を描き直すときも、相続手続きに使うときも、元データがあれば何度でも展開できます。
工程③:図にする(書き方のルールと4つの方法)
家系図の基本ルール
家系図に法律上の決まりはありませんが、慣例的な書き方ルールがあります。
| 関係 | 書き方 |
|---|---|
| 夫婦 | 横並びにして二重線で結ぶ |
| 親子 | 夫婦の線から縦線を下ろして子につなぐ |
| 兄弟姉妹 | 同じ高さに横並び(生まれ順に右から、または左から統一) |
| 養子縁組 | 実子(一重線)と区別してつなぐ。伝統的な書式では縦の二重線、作図ツールでは点線も使われる |
レイアウトは、上から下へ世代が下る縦系図が一般的です。横長の横系図は世代数が多いときに収まりが良く、好みで選んで構いません。
方法1:手書き
模造紙や市販の家系図用紙に書く方法です。下書きには付箋(1人1枚)を使うと、配置の試行錯誤が簡単です。温かみがあり、法事などで広げて親族と眺めるのに向いています。
方法2:エクセル・パワーポイント
いちばん実用的な方法です。手順は次の4ステップです。
- 人物一覧のシートと、図を描くシートを分けて用意する
- 「挿入」→「図形」のテキストボックスで、1人=1箱を作る(氏名+生没年を入れる)
- 箱を世代ごとの高さに揃える(図形の「配置・整列」機能を使うときれいに並びます)
- 図形の「線(コネクタ)」で夫婦・親子を結ぶ。夫婦の二重線は線を2本重ねるか、線種の設定で表現します
なお、エクセルのSmartArt(組織図)は上下関係しか表現できず、夫婦の二重線が作れないため家系図には不向きです。図形で組むか、テンプレートを使いましょう。パワーポイントでも同じ手順で作れます。
無料テンプレートの入手先と選び方
無料テンプレートは、ビジネステンプレート配布サイトや家系図業者の無料ダウンロードページで入手できます。選ぶときのチェックポイントは3つです。
- 縦型か横型か
- 何世代分の枠があるか
- エクセル版かワード版か
また、人物データを入力すると図を自動生成してくれるエクセルマクロ型の無料ツールや、パソコン用の家系図専用ソフトもあります。
方法3:無料の家系図アプリ・サイト
スマホだけで作りたい場合は、家系図作成アプリが手軽です。「すいすい家系図」や名字由来netの家系図アプリ、世界最大級の系図サービスFamilySearchなどが知られているほか、Canva・xGrapherなどの汎用作図ツールにも家系図テンプレートがあります。
アプリ・サイトを選ぶ基準は4つです。
- 人物を追加すると自動で整列してくれるか
- 登録できる人数に制限はないか
- PDF・画像で出力できるか(印刷・共有に必須)
- 機種変更やサービス終了時にデータを取り出せるか
手軽さは4つの方法で随一ですが、完成図はPDFや画像で必ず手元に保存しておきましょう。また、アプリやオンラインサービスに存命の親族の情報や本籍地を登録する際は、非公開設定の有無とプライバシーポリシーを必ず確認してください。登録した情報が利用者間で共有・公開される仕組みのサービスもあります。
方法4:業者・行政書士に依頼する
戸籍収集から清書まで任せる方法です。自作との違いを表にまとめます。
| 自分で作る | 業者・行政書士に依頼 | |
|---|---|---|
| 費用 | 数千円〜2万円程度(戸籍手数料のみ) | 3万円〜数十万円(系統数・調査範囲による) |
| 期間 | 数週間〜数か月(自分のペース) | 数か月程度 |
| 手間 | 請求・読み解き・作図をすべて自分で | ほぼお任せ |
| 得られるもの | 調査の過程そのものが家族の学びになる | 和綴じ製本など仕上がりの美しさ |
迷ったら、戸籍収集だけ自分でやってみて、読み解きや清書に困ったら部分的にプロの手を借りるのが費用対効果の高い進め方です。業者料金の内訳・系統数ごとの相場・見積もりの注意点は家系図作成の費用相場で詳しく解説しています。
家系図作りの注意点
- 戸籍には保存期間がある: 除籍は150年(2010年に80年から延長)。延長前の旧ルールで廃棄された古い除籍もあり、思い立ったときが始めどきです
- プライバシーに配慮する: 家系図には存命の親族の個人情報も載ります。共有範囲を決め、SNSなどへの安易な公開は避けましょう
- 他家の調査はしない: 配偶者の家系を調べる場合も、必ず本人(その家の直系者)が請求・同意すること
- データは複数箇所に保存: 集めた戸籍のコピーや古い写真はスキャンして、クラウドと物理の両方に保管を
家系図は「作って終わり」ではない
完成した家系図は、次の場面で活きます。
- 相続手続き: 戸籍一式と相続関係の整理は、法定相続情報一覧図(法務局の制度)の作成に活用できます。一覧図は法務局所定の様式で、記載されるのは被相続人と相続人に限られます
- 家族史づくり: 家系図を骨格に、写真・証言・年表を肉付けすると「家の歴史」が一冊にまとまります
- 子や孫への継承: 調査でわかった先祖のエピソードは、家系図と一緒に文章で残しておくと価値が長持ちします
当社の家系図・自分史AI整理サービスでは、集めた戸籍・写真・証言をAIで整理し、家系図や家族史の形に仕上げるお手伝いをしています。「戸籍は集めたが、その先が進まない」という方はご相談ください。
家系図の作り方に関するよくある質問
家系図はエクセルで作れますか?
作れます。図形と線を使って自分で組む方法と、無料テンプレートを利用する方法があります。人物データを表で管理し、図と分けておくと修正が楽です。
市役所で家系図を作ってもらえますか?
市役所が家系図を作ってくれることはありません。市役所でできるのは戸籍(除籍謄本・改製原戸籍)の交付までで、読み解きと作図は自分で行うか、業者・行政書士に依頼します。
スマホだけで家系図は作れますか?
家系図アプリや無料作図ツールを使えば可能です。ただし戸籍の請求は窓口または郵送が必要なため、「調査は紙、作図はスマホ」という分担になります。完成図はPDFや画像で必ずバックアップしておきましょう。
家系図作りの費用はいくらですか?
自分で作る場合は戸籍の手数料のみで総額数千円〜2万円程度。業者・行政書士に依頼する場合は1系統3万〜8万円程度、複数系統や文献調査込みで数十万円までが目安です。系統数別の総額シミュレーションは家系図作成の費用相場を参照してください。
家系図の無料テンプレートはありますか?
あります。エクセル・ワード用の無料テンプレートがテンプレート配布サイトや家系図業者のページで入手できます。縦型か横型か、何世代分の枠があるかを確認して選びましょう。
家系図はどこまで遡れますか?
戸籍だけで幕末〜明治初期生まれの先祖(4〜6世代前)までが一般的です。さらに遡るには過去帳・旧土地台帳・宗門人別改帳などの資料調査が必要になります。詳しくは先祖の調べ方まとめをご覧ください。
まとめ
- 家系図の作り方は「①戸籍で調べる → ②整理する → ③図にする」の3工程
- 自作の費用は数千円〜2万円程度。2024年開始の広域交付で戸籍集めは格段に楽になった
- 図にする方法は手書き・エクセル・アプリ・業者依頼の4つ。迷ったら自分で集めて、困った工程だけプロに
- 除籍の保存期間の関係で、家系図作りは早く始めるほど遠くまで遡れる
- 集めた古い戸籍の様式が分からない・読めないときは古い戸籍の見方・読み方・集め方 完全ガイドへ
参考資料
*本記事は、ご自身の直系のご先祖の調査を前提とした情報提供です。戸籍などの資料を他者の出自や特定の地域に関する調査(身元調査)に用いることは重大な人権侵害です。当社のサービスにおいても、ご自身の直系のご先祖に関するご依頼以外はお受けしません。なお、戸籍・除籍の不正取得は法律により処罰の対象となります。*
