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売れる型が作れない|型を作る前に、ライバルの商品をお客さまとして最後まで体験する

売れる型(決まった売り方や商品の組み立て)を作ろうとして机の上で止まっていませんか。型の材料は、すでに売れている現場にあります。ライバルの商品をお客さまとして最後まで体験し、「何の悩みにお金が払われているか」「どう集め、どう売り、買ったあと何で続けてもらっているか」を書き出してから、自社の型に写す手順を整理します。

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木の机でカエルが、ライバルの商品を体験しながら「集める」「売る」「そのあと」と書いた手書きのカードを順番に並べているイラスト
カテゴリAI×営業・マーケティング
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更新日2026/10/15
QUICK ANSWER

先に結論

売れる型(決まった売り方や商品の組み立て)を作ろうとして机の上で止まっていませんか。型の材料は、すでに売れている現場にあります。ライバルの商品をお客さまとして最後まで体験し、「何の悩みにお金が払われているか」「どう集め、どう売り、買ったあと何で続けてもらっているか」を書き出してから、自社の型に写す手順を整理します。

新しい事業を始めるとき、あるいは今の商売を立て直すとき、まず「売れる型を作ろう」と考える方は多いと思います。商品の組み立て、価格、案内の順番、営業の流れ。机の上で何度も書き直し、資料はどんどんきれいになっていく。それなのに、いつまでも「これで出してよい」と思えない。中小企業の社長やひとり社長の方から、よく聞く悩みです。

結論から先に書きます。売れる型が決まらないとき、足りないのは考える時間ではなく、型の材料であることが多いと考えています。その材料は、すでにお客さまがお金を払っている現場にあります。やることは、次の3つです。

  1. 売れている商品ではなく、お金が払われている悩みを見る(買う理由の裏には、いまのやり方への不満がある)
  2. ライバルの商品を、お客さまとして最初から最後まで体験する(案内や営業の説明も、途中で抜けずに受ける)
  3. 「集める・売る・そのあと」の3段に分けて書き出し、そこから自社の型に写す(型は、現場で確かめた構造を写したもの)

かえるちゃんが、何度も書き直された企画書を見て、ぽつりと聞くことがあります。「これと似たもの、実際に買ってみた?」——本稿は、この問いから始めます。

競合調査のやり方|一般的に言われていること

まず一般論です。新しい商品やサービスを考えるとき、「競合調査」としてよく挙がるのは次のようなものです。

  • ライバルのホームページや料金表を見る
  • 広告やSNSでの発信の仕方を調べる
  • 口コミやレビューを読み、評判を確かめる
  • 強みと弱みを表に整理する
  • 自社との違いを書き出し、差別化の軸を決める

どれも大切です。何も調べずに始めるより、ずっと確かな一歩になります。

ただ、ここで一つ引っかかるのは、これらの多くが外から眺めた調査だという点です。ホームページも料金表も口コミも、お店の入り口に貼ってある案内のようなものです。お客さまが実際にどんな気持ちで入り、何を説明され、どこで「買おう」と決め、買ったあと何を勧められているのか。いちばん大事な部分は、外からはほとんど見えません。

違和感|外から眺めた競合は、いちばん大事なところが見えない

外から眺めるだけの調査には、次のようなずれが起きやすくなります。

  • 商品そのものを見てしまう:機能や価格を並べて比べるだけで、「なぜお客さまはそれにお金を払ったのか」まで届かない
  • 入り口だけを見てしまう:最初に目に入る商品だけを見て、買ったあとに続く商品や、本当に利益を生んでいる部分を見落とす
  • 自分の頭の中で完成させてしまう:見えない部分を想像で埋めて、その想像の上に自社の型を作ってしまう

とくに3つ目は気づきにくいところです。想像で埋めた型は、机の上ではきれいにつながって見えます。でも、実際のお客さまの気持ちの動きを一度も通っていないので、出してみると「なぜか反応がない」ということが起きます。そして反応がない理由も、また想像で考えることになります。

見る方法分かること見えにくいこと
ホームページ・料金表を見る何を、いくらで売っているかなぜその値段で買われているか
広告・発信を見るどこで、どんな言葉で呼びかけているか呼びかけのあと、どこへ案内しているか
口コミを読む買った人の満足・不満の一部買う前に何に迷い、何で決めたか
お客さまとして最後まで体験する案内の順番、説明の言葉、決める瞬間、買ったあとの流れ社内の数字や事情(ここは見えなくてよい)

KAKUKATA視点|型は、現場で確かめた構造を写したもの

KAKUKATAという名前には、「型」という考え方が入っています。林英明は、型を大事にしています。ただ、型は机の上で発明するものではなく、現場で確かめた構造を、くり返し使える形に写したものだと考えています。順番を逆にすると、型はきれいでも、お客さまの動きと合わなくなります。

ここからは、型を作る前に林英明がいま大事にしている見方を、4つに分けて書きます。決まった正解としてではなく、試しながら整えている途中の考え方です。

1. 売れている商品ではなく、お金が払われている悩みを見る

ライバルを調べるとき、つい商品そのものに目が行きます。何が入っていて、いくらで、どんな見た目か。でも、お客さまが本当にお金を払っているのは、商品ではなく悩みが片づくことです。

もう一歩踏み込むと、買う理由の裏には、たいてい、いまのやり方への不満があります。同じような商品がいくつもある中で、わざわざそれを選んだのなら、ほかの選択肢のどこかに不満があったはずです。説明が分かりにくかった、手間がかかった、相談しにくかった、続かなかった。その不満が見えると、「何を作るか」より先に「何を片づけるか」が決まります。

  • 「この商品は何ができるか」ではなく、「お客さまは何に困って、これを選んだのか」を書く
  • 「ほかと比べて何が優れているか」ではなく、「ほかの選択肢の何が不満だったのか」を書く
  • 不満が機能の話になっていたら、伝わり方・続け方・手間のどれかに言い換えてみる

2. お客さまとして、最初から最後まで通る

外から見えないものを見るいちばん確かな方法は、自分がお客さまになることです。実際に問い合わせ、話を聞き、可能なら買ってみる。そのとき大事なのは、詳しい人として冷静に眺めるのではなく、何も知らないお客さまとして素直に体験することです。

素直に体験すると、自分の気持ちが動く場所が分かります。「ここで少しわくわくした」「ここで不安になった」「この一言で決めたくなった」。お客さまの気持ちが動く場所は、自分で動かされてみないと、なかなか分かりません。

そしてもう一つ、案内や営業の説明が始まっても、途中で抜けないことです。説明会や相談の最後に、上の商品の案内が始まると、席を立ちたくなる方も多いと思います。でも、そこにこそ、その会社が時間をかけて磨いてきた売り方が詰まっています。どんな順番で話し、どの言葉で背中を押し、どこで次の商品を勧めるのか。最後まで受けて書き留めておくと、それ自体が何よりの教材になります。

3. 「集める・売る・そのあと」の3段に分けて書き出す

体験したら、相手のもうけ方の仕組みを書き出します。難しく考える必要はありません。次の3段に分けるだけです。

  • 集める:お客さまは、どこで知り、どうやって最初の接点に来たか
  • 売る:最初に何を勧められ、どこで買うと決めたか
  • そのあと:買ったあと、何を勧められ、どうやって続けてもらっているか

この流れは、マーケティングファネル(見込み客が、知る→興味を持つ→買う→続ける、と進む流れを、だんだん細くなる漏斗にたとえた考え方)とも呼ばれます。考え方の基本はマーケティングファネルにまとめています。本稿では、その流れを自分の体験で埋めてみるところに絞ります。

3段に分けると、多くの場合、最初に見えていた商品と、利益を生んでいる商品が違うことに気づきます。入り口の商品は手に取りやすくしてあり、本当に大事なのは、そのあとに続く相談や継続のほうだった、ということはよくあります。ここが見えると、自社の型でも「どこで利益を生むか」「入り口は何にするか」を分けて考えられるようになります。

4. 型にする前に、小さく確かめる

体験と書き出しが終わったら、いよいよ自社の型にします。ただ、ここでも一度に完成させようとはしません。手元のお金が尽きない範囲で、小さく試すことを先にします。

  • 簡単な案内だけを先に出して、反応を見る
  • 先に申し込みの意向だけを聞いてから、中身を作り込む
  • 少人数に試してもらい、気持ちが動いた場所と止まった場所を聞く

何度か外れても続けられる大きさで試し、「これなら出してよい」と言える印が見えてから、本体を作り込みます。作る前にお客さまに選んでもらう具体的な手順は、作る前にお客さまに選んでもらうで詳しく書いています。本稿は、その一つ手前で「何を試すかの材料を、現場で集める」話です。

実務|今週やること:1社を選び、体験メモを1枚つくる

新しい道具は使いません。紙1枚か、メモ1つで十分です。

  1. 体験する相手を1社だけ選ぶ:いま作ろうとしている型に近い商品やサービスで、実際にお客さまがついているところを選びます。迷ったら、広告や発信をよく見かけるところにします。お金と手間をかけて呼びかけているのは、そこにお客さまがいるからです。
  2. 入り口から入る:広告やホームページから、普通のお客さまと同じ道で入ります。気になった言葉、迷った場所をその場でメモします。
  3. 案内や説明を最後まで受ける:問い合わせ、説明会、相談など、相手が用意している流れに乗ります。上の商品の案内が始まっても、抜けずに聞きます。
  4. 可能なら、小さな商品を買ってみる:無理のない範囲で、入り口の商品を一つ買います。買ったあとに届く案内や連絡も見ておきます。
  5. 3段に分けて書き出す:「集める・売る・そのあと」を、それぞれ数行で書きます。
  6. 「払われている悩み」と「裏にある不満」を一文ずつ書く:お客さまは何に困ってこれを選び、ほかの何が不満だったのか。
  7. 自社の型と比べて、違う点を1つだけ選ぶ:全部まねるのではなく、いちばん自社に足りない点を1つ選び、小さく試す方法を決めます。

書き出しのイメージです。以下は例です。

項目(例)書く内容(例)
集める短い無料の資料を入り口にして、受け取った人に案内を送っている
売る説明の場で、まず小さな商品を勧め、迷う人には少人数の相談を案内している
そのあと使い始めた人に定期的に声をかけ、続けて相談できる形に案内している
払われている悩み一人で考えていると、何から手をつければよいか分からない
裏にある不満ほかのやり方は情報が多すぎて、自分の場合に当てはめられなかった
気持ちが動いた場所説明の途中で、自分の状況を言い当てられたとき
自社と違う点自社は入り口がいきなり本格的な相談で、手前の一歩がない

AIは、体験中にとったメモの整理や、3段への並べ替え、複数社の比較表づくりで手伝ってもらいやすい部分です。一方で、どこで気持ちが動いたか、何を自社の型に写すかは、体験した人が決めることです。

体験するときに守ること

お客さまとして体験するのは、相手の時間を使うことでもあります。次の点は守るようにしています。

  • うそをつかない:立場や目的を偽って、内部の情報を聞き出そうとしない
  • 相手の手間を必要以上に取らない:買う気がまったくないのに、何度も相談の時間を押さえない
  • 言葉や資料をそのまま写さない:学ぶのは流れと考え方で、文章やデザインを丸ごと使うことではない
  • 利用規約や約束ごとを守る:持ち出してはいけない資料や、記録してはいけない場があれば従う

よくあるつまずき

  • ホームページを眺めただけで「体験した」ことにしてしまう
  • 詳しい人の目で見てしまい、お客さまとして気持ちが動く場所を感じ取れない
  • 営業の説明が始まったところで抜けてしまい、いちばん大事な「そのあと」が見えない
  • 体験したことに満足して、3段の書き出しをしないまま忘れてしまう
  • 良かったところを全部まねようとして、自社の型がかえってぼやける

よくある質問

ライバルの商品を買うのは、お金がもったいなくありませんか?

型を作るための調べものと考えると、見え方が変わります。外から想像で組み立てた型を出して、反応がなかったときに失う時間と手間のほうが、ずっと大きいことが多いからです。もちろん無理は禁物です。まずは入り口の小さな商品や、無料で受けられる説明から始めれば十分です。

同業のライバルが見当たりません。その場合はどうすればよいですか?

まったく同じ商品でなくてかまいません。同じ悩みを、別のやり方で片づけているところを探します。たとえば、相談サービスを考えているなら、本や講座、道具など、同じ困りごとにお金が払われている場所がライバルになります。そもそも誰もお金を払っていない場所なら、悩みの捉え方そのものを見直す合図かもしれません。

お客さまとして体験するのは、相手に失礼になりませんか?

普通のお客さまと同じ道で入り、相手が用意している流れを受けるだけなら、失礼にはあたらないと考えています。大事なのは、うそをつかないこと、相手の時間を必要以上に使わないこと、資料や言葉をそのまま写さないことです。気に入ったら、そのままお客さまになってもよいと思います。

体験したら、そのまままねてもよいのですか?

学ぶのは、流れと考え方です。案内の順番、気持ちが動く場所、買ったあとの続け方といった構造は参考になりますが、文章やデザインを丸ごと使うのは避けます。構造を写したうえで、自社のお客さまに合う言葉と中身に置き換えることで、はじめて自社の型になります。

体験したあと、何から型にすればよいですか?

3段の書き出しの中で、自社といちばん違う点を1つだけ選びます。全部を一度に作り直すと、どれが効いたのか分からなくなるからです。選んだ1点を小さく試し、反応を見てから次に進みます。いちばん利益をくれたお客さまから考える方法は、いちばん利益をくれたお客さまから逆算するも参考になります。

まとめ|次に決めること

売れる型が決まらないときの論点は、考える時間の長さではなく、型の材料を現場で集めたかどうかです。お金が払われている悩みを見て、ライバルの商品をお客さまとして最後まで体験し、「集める・売る・そのあと」に分けて書き出す。そのうえで、小さく試してから型にする。この順番で考えます。

  • いま作ろうとしている型に近いライバルを、1社だけ選べるか
  • その会社の入り口から入り、案内や説明を最後まで受ける日を、今週の予定に入れられるか
  • 体験したあと、「払われている悩み」と「裏にある不満」を一文ずつ書けるか

この3つが決まると、「机の上で型を書き直し続けている」状態から、「現場で確かめた構造をもとに、小さく試している」状態へ近づきやすくなります。まずは今日、体験してみたいライバルの名前を1つ、メモに書くところからで十分です。

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型を手に入れる。あるいは、共に超える。