先に結論
家系図を行政書士に依頼すると、委任状にもとづく戸籍の代理取得・読解・作図まで任せられます。できること・できないこと、民間業者・自作との違い、費用の目安、失敗しない選び方のチェックリストを解説します。
家系図を行政書士に依頼すると、本人の委任状にもとづく戸籍の代理取得・読み解き・家系図の作図まで一括で任せられるのが最大の利点です。 一方で、観賞用の家系図作成そのものは行政書士の独占業務ではなく、民間業者や自作という選択肢もあります。目的と予算に合わせて選ぶことが大切です。
この記事では、行政書士に頼める範囲と頼めない範囲、費用の目安、民間業者・DIYとの使い分け、失敗しない選び方のチェックリストを整理します。
なお、家系図作りはご自身の直系のご先祖を調べることが前提です。他者の出自を調べる身元調査は重大な人権侵害であり、本記事の対象外です。
行政書士に依頼してできること
行政書士に家系図作成を依頼した場合、一般的には次の一連の作業を任せられます。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 戸籍の代理取得 | 依頼者本人の委任状にもとづき、市区町村へ戸籍・除籍・改製原戸籍を請求 |
| 読み解き | 手書きの旧字体・くずし字を判読し、氏名・続柄・生没年月日を整理 |
| 作図 | 系統図・家系図としてまとめる(データ納品・印刷・表装は事務所による) |
| 説明・相談 | 転籍・改製で途切れた箇所の解釈、これ以上遡れない理由の説明など |
ポイントは、戸籍の代理取得に正式な委任状が必要なことです。職務上請求(士業が委任状なしで職務のために戸籍を請求できる制度)は、家系図作成を目的とした取得には使えないとされています。「委任状なしで集められます」と説明する業者には注意してください。
手数料の実費は、戸籍謄本1通450円、除籍謄本・改製原戸籍1通750円です。調査料金に実費が含まれるかは事務所により異なります。
行政書士の「独占」ではないこと
観賞用・記念用の家系図を作ること自体は、最高裁の判断でも行政書士の独占業務ではないとされています(中立的な事実としてお伝えします)。つまり、次の選択肢が並立しています。
- 行政書士: 委任状による戸籍代理取得+読解+作図をまとめて依頼しやすい
- 民間の家系図専門業者: 調査から巻物・掛軸などの表装まで一括プランが充実していることが多い
- 自分で作る(DIY): 戸籍は自分で請求し、作図はエクセルやアプリで行う
「行政書士に頼まないと家系図は作れない」わけではありません。戸籍の代理取得を含む正式な代行を望むか、表装の美しさを重視するか、費用を抑えて自作するか——で最適なルートが変わります。費用の全体像は家系図作成の費用相場を、自作の手順は家系図の作り方を参照してください。
行政書士・民間業者・自作の使い分け
| 向いている人 | 費用の目安 | |
|---|---|---|
| 行政書士 | 戸籍の代理取得まで任せたい。士業としての守秘・手続きの安心感を重視 | 1系統3万〜8万円程度が目安(実費の扱いを要確認) |
| 民間業者 | 巻物・掛軸など仕上げの種類が豊富なプランを選びたい | 1系統3万〜10万円程度+表装費 |
| 自作 | 時間をかけられる。調査の過程も楽しみたい | 戸籍手数料中心で数千円〜2万円程度 |
| 中間ルート | 集めは自分、読み解き・整理だけ外注したい | 戸籍実費+整理費用 |
見落とされがちなのが中間ルートです。2024年3月開始の広域交付を使えば、本人が最寄りの役所窓口で直系の戸籍をまとめて請求できます(顔写真付き本人確認書類が必要。コンピュータ化されていない古い除籍は対象外)。集めるところまで自分でやれば費用を抑えつつ、読めない部分だけ助けを借りる組み立てが可能です。
戸籍収集の全体手順は先祖の調べ方まとめで解説しています。
失敗しない選び方チェックリスト
依頼先を決める前に、次の項目を確認してください。
- [ ] 家系図・戸籍調査の実績があるか(相続手続き中心の事務所か、家系調査にも慣れているか)
- [ ] 料金の内訳が明確か(調査費/戸籍実費/系統追加/表装/追加連絡のルール)
- [ ] 委任状による代理取得を正しく説明しているか(職務上請求での家系図取得をうたっていないか)
- [ ] 壬申戸籍など不可能な調査を宣伝していないか(壬申戸籍は閲覧禁止)
- [ ] 個人情報の取り扱い(保管期間・廃棄証明書の発行・守秘義務の説明)があるか
- [ ] 納品形式(PDF・印刷・巻物など)と修正対応の範囲が分かるか
- [ ] 見積もりの上限額や追加時の連絡方法が決まっているか
相見積もりを取るときは、「1系統あたりの総額(実費込みか別途か)」で比較するのが実務的です。
依頼前に決めておくとよいこと
- 系統数: 父方1系統からか、父母双方か。後から追加できるか料金表で確認
- 納期の希望: 戸籍の往復で数週間〜数か月かかるのが一般的
- 仕上げ: データ納品で足りるか、印刷・表装まで必要か(表装は後からでも可)
- 相続との切り分け: 観賞用家系図と、相続用の戸籍一式は目的が違う。相続人確定が主目的なら最初から相続に強い士業へ
古い戸籍の判読でつまずく場合の自助策は、古い戸籍の読み方やくずし字アプリも参考になります。
KAKUKATAでできること・できないこと
株式会社KAKUKATAの家系図・自分史AI整理サービスは、お手元に集めた戸籍・写真・証言を家系図や家族史の形に整理する支援です。手書きの旧戸籍が読めない場合は、古文書AIサービスでAI下読み+人間確認による整理も行っています。
一方で、戸籍の取得代行・相続人の確定・法律相談・法律事務は行いません。委任状による戸籍の代理取得は行政書士等の士業の業務です。相続登記や法定相続情報一覧図の申出などは司法書士・弁護士等にご相談ください。
よくある質問
行政書士に頼まないと家系図は作れませんか?
作れます。観賞用の家系図作成は行政書士の独占業務ではありません。自作や民間業者への依頼も一般的な選択肢です。
職務上請求で戸籍を集めてもらえますか?
家系図作成を目的とした取得には、職務上請求は使えないとされています。本人の委任状にもとづく代理取得が正しい運用です。
費用はいくらですか?
行政書士への依頼は1系統3万〜8万円程度が目安です(民間業者を含めた全体では3万〜10万円程度)。戸籍実費が込みかどうかは事務所により異なります。詳細は費用相場の記事もご覧ください。
どこまで遡れますか?
戸籍調査の実務上限は概ね明治19年式戸籍までで、多くの家で幕末〜明治初期生まれ(4〜6世代前)が目安です。壬申戸籍はどの士業でも閲覧できません。
読み解きだけ依頼できますか?
事務所によります。自分で戸籍を集め、読めない箇所だけ判読・整理を依頼する部分依頼に対応している場合もあります。当社の整理サービスも、この「集めた後」の段階に特化しています。
まとめ
- 行政書士への依頼の強みは、委任状による戸籍代理取得+読解+作図をまとめられること
- 観賞用の家系図作成は独占業務ではなく、民間業者・自作・中間ルートも並立する
- 選び方の鍵は、実績・料金内訳・委任状の運用・廃棄・守秘の明確さ
- 取得代行は士業、整理・読解の支援は民間サービス、と役割を分けて考えると失敗しにくい
参考資料
*本記事は一般的な情報提供であり、個別の依頼・見積もりを保証するものではありません。当社のサービスはお手元の資料の解読・整理の支援であり、戸籍謄本等の取得代行、相続人の確定、法律相談・法律事務は行いません(これらは行政書士・司法書士・弁護士等の業務です)。また、戸籍などの資料を他者の出自や特定の地域に関する調査(身元調査)に用いることは重大な人権侵害であり、当社でも身元調査に関わるご依頼はお受けしません。*
